「四国」といえば、四国八十八か所霊場を思い浮かべる人も多いのでは?
徳島県鳴門市にある、四国八十八か所霊場の第一番札所・霊山寺(りょうぜんじ)に行ってきました。
四国霊場の札所なのでお遍路さんしか参拝できないのでは?と思うかもしれませんが、一般の観光客でも気軽に参拝できますよ。霊山寺の魅力と御朱印をご紹介します。
霊山寺へのアクセスと駐車場情報
霊山寺は徳島県鳴門市の県道12号線沿いにあり、とてもわかりやすい場所にあります。鳴門インターからおよそ10キロ、車で20分くらい。近くにはJR板東駅もあり、駅からは徒歩15分くらいです。
霊山寺の駐車場
お遍路さんは歩きだけでなく、車や団体ツアーで巡礼する方も多く、出発地点となる霊山寺には大型の駐車場があります。
県道沿いに駐車場入り口があり、大きく「霊山寺駐車場」という看板もあるのですぐにわかりますよ。
発心の道場・阿波の一番札所
四国八十八か所霊場はその名のとおり四国四県にそれぞれ札所となるお寺があり、合わせて88寺を周る巡礼です。
総距離1460キロに及ぶお遍路のスタート地点となる徳島県は「発心(ほっしん)の道場」と呼ばれ、続いて高知県は「修行の道場」、」愛媛県は「菩提(ぼだい)の道場」、香川県は「涅槃(ねはん)の道場」と呼ばれます。
発心の道場でお遍路をする決心を固め、修行の道場で心を落ち着け、菩提の道場では仏教の信を得て、涅槃の道場で所願成就することを表しています。
発心の道場の中でさらに最初のお寺ということで、境内は今からお遍路を始めるお遍路ビギナーの方々でにぎわっています。
本堂の前でお経を読む声や香炉に線香をたてる動作もどこかぎこちなく、お遍路の道中に着る白衣もまだまだパリッと新品です。
何度もお遍路をしているベテランさんは杖にも白衣にも年季が入っていて、雰囲気ですぐにわかります。
実はゆるい四国遍路
お遍路というと、なんとなく「苦行」のイメージを持つでしょうか?昔は“不治の病になったら四国へ送り出す”ということもあったそうですが、今はそんなことはありません。
もちろん今でも病気快癒や家族の供養といった、明確な目的を持ってお遍路をする方もいますが「なんとなく一回やってみたい」と漠然とチャレンジする方もたくさんいます。
全行程を歩くいちばんハードな歩き遍路の場合はおよそ1か月半~2か月かかりますが、車や団体ツアーの場合は早くて1週間で結願(88か所すべてを周り終えること)できます。
始めたらそのままゴールを目指さないといけないわけでもなく、「区切り打ち」といって少しずつ時間があるときに周れるところまで行くという方法もありますし、“いつまでに終わらないといけない”というルールはありません。
スタートするのも一番札所でなくても好きなところから始めてもOKですし、必ずお遍路装備で周らないといけないわけでもありません。
堅苦しく考えず、観光気分で気楽にお参りすることができるようになっていますよ。
霊山寺のみどころ
お遍路さんを迎える大きな山門(仁王門)はとても歴史がありそうですが、明治24年の火災で本堂と多宝塔以外は焼失したため、それ以降に建て替えられたものだそうです。
山門の見事さもさることながら、たたずむマネキンが気になりますよね。
お遍路セットフル装備の謎の外国人美女のマネキン、かなり昔からこの場所でお遍路さんを出迎えています。
これは近所の洋品店でいらなくなったマネキンを譲り受けたものだそうで、境内にはまだまだ謎のマネキンがいるので探してみてください。
霊山寺は、荘厳さと珍スポット要素を合わせ持つ不思議なお寺です。
本堂の灯篭
霊山寺といえば、本堂に吊るされたたくさんの灯篭。とても美しくて見とれてしまいます。
灯篭に見とれて忘れがちですが、本堂は天井絵の龍も見事です。見る角度によって表情が変わるといわれていますよ。
四国遍路ではお寺の御本尊さまがいる「本堂」と、四国遍路を開いた弘法大師がいる「大師堂」の2か所に必ずお参りをします。
放生池
境内に入るとすぐに見える放生池(ほうじょうち)は大きな錦鯉がたくさん泳いでいて、本堂で鯉のエサが買えるのでエサやりもできます。
池に近づくと期待してスーッと寄ってくる鯉たちですが、残念ながら冬はエサの販売を中止していました。
池の中には金ぴかでムチムチの童子たちがいて、センターの子だけ新品のようにまぶしい…。手を合わせて見つめる先には地蔵菩薩がいます。
親より先に死んでしまった幼い子供たちは賽の河原で石を積んでは地獄の鬼に崩されるという謎の責め苦を受け、地蔵菩薩が救ってくれるのを待つそうです。
縁結び観音
山門をくぐり、境内に入ってすぐ左手にあるのが「縁結び観音」。
縁結び観音の前にもひしゃくがあるので手水舎と間違えそうですが、観音さまの隣に正規の手水舎があります。お参り前のお清めはそちらで。
縁結び観音は男女の縁だけでなく、仕事や健康、幸運、金運などあらゆる縁を結んでくれます。観音さまの足元にいるカエルの口からはちょろちょろと弱めに水が放出されていて、なんとなくゆる~い雰囲気。
縁結び観音への祈願は「水で清めながら願いごとをする」そうなので、観音さまの足元にそっと水をかけながら願いごとをしましょう。
霊山寺の歴史
霊山寺の基本的な情報も少しだけご紹介します。
正式には「竺和山(じくわさん)一乗院(いちじょういん)霊山寺」といいます。
お寺の名前は基本的に山号+寺号というセットになっています。四国八十八か所霊場だけでなく、全国どこのお寺でもこの構成ですよ。
山号や寺号はそのお寺の歴史を表していて、竺和山霊山寺の場合は弘法大師・空海が霊山寺を訪れたとき一人の老僧をたくさんの人が取り囲み、熱心に話に聞き入る光景がお釈迦さまが説法をしている姿に見えたので、天竺(インド)の霊山・霊鷲山を日本(和国)に移すという意味でこの名前がつけられました。
霊山寺は聖武天皇の時代(724年~749年)、勅願を受けた行基が開いたといわれています。
御本尊は弘法大師作といわれる釈迦如来像、14センチほどの小さな誕生仏でふだんは見ることはできません。直近では2014年の四国霊場開創1200年記念で御開帳されていました。
霊山寺の御朱印
四国霊場では御朱印のことを「納経(のうきょう)」といいます。御朱印は写経をお寺に納めた証明としていただくものなので、こう呼ばれています。
写経を納めなくても、本堂と大師堂をお参りしたあと納経所に行けば書いて頂けますよ。書いて頂く場合は納経料として300円を納めます。
霊山寺は普通の御朱印帳でも書いていただけるようですが、四国霊場では一部のお寺で専用の納経帳以外は納経を受け付けていないところがあります。
神社の御朱印と違い、なんて書いてあるのかわからないのがお寺の御朱印。
四国遍路では参拝した日付は入らず、88番札所でのみ結願の日付を書いていただけます。
まとめ
四国遍路のスタート地点、霊山寺はいつもたくさんのお遍路さんでにぎわっているお寺です。それほど境内は広くありませんが、見どころが凝縮されていて観光で訪れても楽しめますよ。
これからお遍路をしてみたいと思う方も、鳴門の観光地を探している方も、一度訪れてみてくださいね。