家の価値専門家によるマイホーム作りの話

家を中古で売る時に高額で売れるのはどんな家?新築の段階でできることは?

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青空が恋しいような梅雨です。

住宅を新築しても、将来家を売ることになるかも。そうなった時には、できるだけ高く売りたいもの。
どうやったら高い価値がつくのかしら。

そうですよね。
今流通している中古住宅の値段って、かなり安そうです。
国もいろいろな制度を作っていますが、そんな制度知らない、ということが多いのではないでしょうか。

この記事ではそんなあなたに、中古住宅の流通の変化や新築の時に考えておくことをご紹介します。ぜひ参考になさってくださいね。

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新築した住宅、将来の価値はどうなる?

今、新築で家を建てても、何年かすれば中古住宅と言われるようになります。

現在も中古住宅は流通しています。ただし、築30年になるとほとんどの場合、住宅の建っている土地の価格のみの売買と言っていいでしょう。
大切に守ってきた住宅が資産価値ゼロと言われては、がっかりですね。

日本では中古住宅の資産価値がまだまだ認められておらず、すべての住宅の流通量に占める新築以外の既存住宅・中古住宅の割合は14.7%(平成25年)です。この比率は欧米と比較すると6分の1。

中古住宅になると住宅の資産価値がなくなってしまうのでは、新築して自分で暮らし続けている間の満足感だけが住宅の価値となってしまいます。

 

実はまだまだ住み続けられるのに、取り壊して新築をする、の繰り返しになり、スクラップ&ビルドと呼ばれる使い捨てになってしまっているのです。

未来に続く循環社会にするために、これではいけません。

国でも持続可能な社会のために、スクラップ&ビルドから、安全で質の高い住宅ストックのある社会を目指す方策をいろいろと打ち出しています。
中古住宅市場のあり方も、変えていこうとしているのです。

既存住宅価格査定マニュアルと安心R住宅

中古住宅の価格に、住宅の質を反映させる大きな流れが始まっています。
例を二つ上げておきますね。

既存住宅価格査定マニュアルの変更

既存住宅(中古住宅のことですね)が売りに出される時に価格の査定がありますが、その査定マニュアルの評価が変化しています。
長持ちする家なのかどうかをその住宅の性能によって、評価しようという変化です。

家の足元の基礎や、構造部分(躯体(くたい)と言います)が長い耐用年数を耐えられるものかどうか、最高100年で評価します。これまでは30年から50年でしたから、ぐっと評価の幅が広がりました。

インスペクションと呼ばれる第3者による中古住宅の検査の結果で、家が劣化しているかどうかで評価が変わってきます。これまでは築年数で一律でした。

リフォームの結果を評価する部分が広がり、設備が新しくなっていると評価があがるようになりました。

安心R住宅

国による制度の一つに、「安心R住宅」があります。
中古住宅を買いたい人に向けて、「住みたい」「買いたい」と思えるような中古住宅を提供しようという認定制度。

不安・汚い・わからないというマイナスイメージを払拭(ふっしょく)して、安心して購入できるような条件の家ですよという目印となります。

下にあげる住宅の様々な情報が揃っていますという目印です。

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  • 建築をした時の情報(法規に適合しているか、認定は何か受けているかなど)
  • 維持保全の状況に関わる情報(これまでの建物状況の報告、シロアリの点検結果)
  • 保険や補償に関わる情報(瑕疵(かひ)担保保険、シロアリなどの保証書)
  • 省エネルギーに関わる情報(省エネルギー性能に関すること)
  • その他の情報

では、新築の時どうしたらいいの?

見てきたような中古住宅の流通の大きな流れは、まだまだ始まったばかりです。これから新築する家を、将来も高い資産価値を持たせるためにはいったいどうしたらいいのでしょうか?

一つ目安になることは、「長期優良住宅」という考え方です。認定制度にもなっていて、認定を受けるとローンの金利などにも有利です。

長期優良住宅とは

20年30年の短期間ではなく、もっと長い期間(100年以上)、手入れをしながら大切に使いましょうという考え方から作られています。

  • 長期に使用するための構造及び設備を有していること
  • 居住環境等への配慮を行っていること
  • 一定面積以上の住戸面積を有していること
  • 維持保全の期間、方法を定めていること
  • 住宅の建築時の情報や維持保全の実施状況などを履歴として残しておくこと

劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画についての規定がある認定制度なのです。

 

ちょっと堅苦しいですね。ざっくり言うとこういうことになります。

  • 地震に強く、長く強さをたもてるしっかりした構造で作る。
  • 新しく建てて住み始めた後も、いい状態を保つために、維持管理やメンテナンスがしやすい。
  • 住み心地を考えて、バリアフリーや省エネルギーについても考えられている。
  • どんな風に工事や修理をしてきたか、の履歴書がある。

新築の時に取り入れること

長期優良住宅は、建てたときだけではなく長く住み続けるため、世代を超えて住み続けるための考え方です。

認定制度もあり、長期優良住宅の認定を受けると前の章でお伝えした既存住宅価格査定の時に有利ですし、安心R住宅にもスムーズになれるでしょう。
長持ちする家だという価値を認めてもらえるわけです。

長期優良住宅に認定されるにはそれなりの初期投資が必要になります。建築するときだけでなく、住み続けるための工夫を盛り込むわけですからね。

ですから、認定を受けない場合でも、長期優良住宅の基準は知っておくといいと思います。
どのような考え方で基準が作られているのかを知っていると、将来のメンテナンスに備えるにはどうするかがわかるはずです。

それを知っておいて住んでいる間にメンテナンスをし、情報をしっかり保管しておけば、家を売ることになった時に力強い味方になります。

まとめ

中古住宅の流通は、まだまだ変わったとは言えません。
でも30年経つと資産価値がなくなるなんてそんなおかしな話はないよ、ということで、様々な取り組みが始まっています。

質の良い住宅を残すことが、その家の資産価値も高めてくれる時代が少しづつやってくるはずです。

 

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この記事を書いた人
あさ(建築のプロ)

家を建てるって、とっても魅力的な仕事。住宅会社で設計と施工をメインに、20年以上注文住宅のお仕事をしています。
建築主さんと専門家は暮らしを一緒に造り上げていく仲間でもあると思うのです。だから、難しく見えることをできるだけやさしく、あなたにもお伝えしたい!と思っています。

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