私は子供のころ、阪神淡路大震災を被災しました。兵庫県神戸市の外れに住んでいたのですが、とてつもない強い揺れを感じたのを覚えています。
大学に進学し建築を専攻しましたが、今思っても当時の家はよくつぶれなかったなと思います。
そんな経験もあり、地震に強い家を作る時に知っておきたい3つのことをお伝えします。
1.建物の地震対策
建物が地震に耐えられるように作ることはとても重要です。いざという時、しっかりとしたシェルターにもなります。
また、家具の地震対策も忘れないでください。どんなに家が地震に強くても、家の中は物が飛び交いメチャメチャになります。
2.地震に強い構造
建物を地震に強くする方法は大きく分けて3つ。耐震・制震・免震の3つです。
それぞれ特徴がありますが、しっかり理解してもらい家づくりに役立てていただければと思います。
3.震災にあった後のこと
最後は震災にあった後の話です。建物の損傷と復旧、保険などです。
大きな地震では建物へダメージは計り知れません。「備えあれば患いなし」被害にあったとのことをしっかり考えておくと、立て直しも早くできます。
建物の地震対策
建物の地震対策は、「耐震性の向上」と「地震時の防災対策」です。
家が地震に耐えられるようにしっかりとした作りであれば人命は守られますし、被災時に自宅避難も可能です。
防災対策は家具の固定が重要です。せっかく家を頑丈に作ったのに家の中がメチャメチャになったら元も子もありませんね。
建物を地震から強くする構造
建物を地震から強くすることが、大地震の際に一番重要です。
法律では、「数百年に一度の大地震で倒壊しないこと、また数十年に一度の地震で損傷しないもの」と決めてあります。
それぞれ地域によって異なりますが、数百年に一度の地震は震度6強~7程度に相当します。また、数十年に一度の地震は震度5に相当します。
これらの地震から建物を強くする方法は3つあり、耐震構造・制震構造・免震構造に分けることができます。それぞれ特徴がありますので後から記載します。
地震時の防災対策
強烈な揺れを伴う地震は、家の中の家具がメチャメチャになります。家具の転倒によるケガは多く、転倒・移動防止対策は欠かせません。
すべての家具を固定することは不可能ですが、ポイントを決めて対策すると有効です。
背の高い置き家具は転倒防止として壁に固定を。食器棚は、食器が飛びださない工夫が必要です。
侮れないのが、冷蔵庫とピアノ。この二つはキャスターがついており地震時に容易に動きます。
100kgを超えるものは、地震の際に容易に凶器と化します。
地震に強い構造~耐震・制振・免震、それぞれの考え方
地震に強い家と一言で言っても、それぞれ強い家の作り方は異なります。
耐震、制震、免震、それぞれ特徴があり、建てるハウスメーカーや工務店によってできないこともあります。
耐震は基本となる構造のため、どこでも建てることができます。
構造の違いは家の値段にも直結してきます。必ず工事店に確認し、自分の考えに合った工法を選択してください。
耐震~家を頑丈にして地震に耐える~
あなたが普段見る建物のほとんどが、この耐震構造です。コンセプトは頑丈な箱。
頑丈な建物を作って、地震の揺れに耐えようという考え方です。公共建築物から倉庫まで、全国で使われ最も実績があります。
制震~地震の揺れを吸収して耐える~
高層・超高層ビルや最近の住宅にも採用されます。
専用の「ダンパー」と呼ばれるものを建物の中に設置し、地震の揺れを吸収する構造です。繰り返し地震にも強いのが、特徴です。
免震~建物と地面を切り離しす~
建物と地面を離すことで、地震の揺れそのものが建物に伝わらないようにします。
本当に切り離すわけではなく、専用のゴムやバネを使い地面の揺れが伝わらないようにしています。
高級新築マンションや公共施設、重要施設など特に地震に強い構造が求められる場合に選択されます。ただし、建築するにはそれなりに広い敷地が必要です。
地震の被害を受けた後の建物
一度大きな地震を受けた建物は相当のダメージを負っているため、しっかりと点検・修理する必要があります。
特に、構造材と呼ばれる筋交いや合板、制震ダンパーなどの材料は地震によって損傷した場合は取り換える必要があります。
新築された工事店、若しくは地域の工務店にお願いして必ず点検を行ってください。
罹災証明の被害と修繕
運悪く被災してしまった自宅は行政の専門家が調査し、損傷の度合いを判別してくれます。
全壊・半壊・一部損壊といくつか段階がありますが、「全壊 = 取り壊し」というわけではなく修復も可能です。
被害の度合いと修復の可否は別問題のため、必ず工事店に相談しましょう。
大震災で家が倒壊しても法律違反ではない
建築の専門家として、あなたに知っていただきたいことが1点だけあります。
建築基準法は、「最低限の基準」であること。建築基準法は災害時に人命の保護を最優先とし、建物の損傷を容認しています。
「地震で倒れたから欠陥、違法建築!」とすぐに思わないでください。
建物は倒壊しても、人の命を守ることを念頭に置いて基準が決まっているのです。
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まとめ
今回は、地震に強い家を作る際に知っていただきたいことと銘打ち、3つに分けてご紹介しました。地震大国の日本では、いつ自宅が地震の被害を受けるか分かりません。
丈夫な家を建てるには、それなりにお金がかかるのが現実です。地震に強い構造にはそれぞれ特徴があることをご承知ください。
また、被災した場合のことも家を建てる前から検討しておくと立て直しが早くなります。
「備えあれば患いなし」と考え、ご自宅を検討してみてください。